

あるアメリカ人の発表者が発表を終えたあとで質疑応答があり、一人の日本人が質問をしました。その英語はなかなか流暢でしたが、発想は日本的で、「本日はたいへん有益なご発表を承り……」と始めたのです。するとその発表者が途中でそれをさえぎり、「ここは公共の場です。そのような個人的な話はやめていただきたい」と言ってその質問を受けつけませんでした。いくら英語が上手でも英語のコミュニケーションのルールを知らないと意味が相手に伝わらないという例として、このことは私の心に強く印象づけられました。日本の商談などでも、類似のことが行われています。多くの場合、商談などの会合は言葉交わしから始まります。始めの4、5分はよもやま話をして、適当なところで「ところで」という言葉を合図に本題に入ります。このよもやま話とか世間話というのは、広い意味でいう言葉交わしです。英語の社会でももちろん、よもやま話はありますが、日本のように言葉交わしとして定型化してはいません。
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